ギタリストの望むサウンドとは





弊社では色々なお客様のギターをお預かりします。個人のお客様でもプロギタリスト、ギター趣味を全うされているお客様、それから小売店様、メーカー様です。

楽器を修理するというのはオリジナルに近く戻すということや、演奏しやすく仕上げるということですが、その他にもっと自分にあったいい音にしたいという方もいらっしゃいます。今回は弊社で得意とする修理のご提供についてお話できればと思います。

パーツの交換はできるだけ後回しに

修理屋ですので、故障の予防的に同じパーツを交換するのはありだと思います。しかし、お客様がアップグレードパーツとして販売しているパーツを交換したいとします・・・しかし、それは弊社では一旦ストップです。なぜかというと大抵のギターはそのポテンシャルをフルに引き出せていないからです。

ではポテンシャルをフルにとはどういうことなのでしょうか?それは正しい弦高とフレットの高さを揃えるという作業から始まります。弦振動がフレットによって大きく異なるのは聞いてて気持ちの良くないものだし、そこへいくらアップグレードのふりかけをかけても音の変化はありますが良くはなりません。

フレットと弦高、ナットテンションとブリッジテンションそれらの角度も完璧だとして、次にサウンド・・・電装系に着手します。皆さん勘違いしていますが、ピックアップは音を拾う構造ではありません。フレミングの右手の法則という話は私の著書にも書いていますが、ざっくりと説明するとピックアップのポールピースから出ている磁力線を磁性体である弦が乱すことにより電流(音の波形)が生まれます。これは直流ではなく交流電流でサイン波があり、正電圧と負電圧のど真ん中に0Vが来ます。特にエレキギターではメーカー側もそこまで電気知識を極めていないということもありますが、量産性から0Vが中点に来ていない事が多くあります。

ピックアップのパワーを増したものを取り付けると簡単に発生電圧が上がりますので、中点がずれていても差が小さくなり(振幅の幅が増すため)安定した音が出たように感じます。このため多くの場合のユーザーがパワーのあるピックアップをつけると良い音がすると錯覚します。がしかし、弱くピッキングしたときやヴォリュームを絞ったときは中点がずれたままなのでしょぼい音のままです。

実はオールドのフェンダーやギブソンは中点がズレることのないような工夫がされています。なので、磁力の落ちて、パワーの少ないピックアップでも多少の物足りなさを感じますがナチュラルで艶のあるどっしりとした音が出るのです。音のチューニングというのはニュートラルに戻すところがポイントです。


セットアップ中の1961年 ES-335、電装系はジャック以外オリジナルで、PAFが載っておりまさに黄金のサウンド

電装系パーツについて

レストランに出かけてシェフに自分の市販食材を使用して下さいと言っても断られるのは当然のことです。僕が話をしているのは利益のことではなく、シェフは自分の舌とテクニックを頼りに美味しい料理を提供するのが仕事ですので、たとえ食材一つ違ってもその日のうちにぱっと良い味を出すのは時に難しくなります。

 楽器を料理に例えるのは無理がありますが、一つの楽器はツール以上の個体でありパーツを組み合わせたおもちゃでは無いと個人的には考えています。実際に来店していただいて、その方の演奏スタイルや出す音を感じ取ってセットアップの方向性を探りその人の良い音を作っていきますので、取り付けるパーツが本当に正しいかを判断するのも私達の仕事と考えます。結論から言うとどんな有名なプロミュージシャンであってもお客様の判断よりも我々の判断のほうが正しい事が多いのです。

 例えばサウンドが悪いからピックアップを交換してほしいと自前のピックアップを持ち込まれた方で、100%満足して帰られる方はあまりいません。弊社では現状の何処が悪いかは、まずデータを取っていきます。それに足し算引き算をしてサウンドを作ります。それがピックアップであればまずはインピーダンスの調整をして満足いただけないようであればピックアップの巻き直しや交換となります。ちなみに弊社ではあまり交換をやりません。なぜかというとピックアップを製造する技術がありますのでコイルやマグネットをいじることでサウンドキャラクターを作ることが出来、お客様が現状の音からこんな形にしたいと投げてくれることで理想に近づける事が可能だからです。


画像はかなり古いSCHECTERのMONSTERTONEの巻きなおし作業、当時のものはポールピース自体はアルニコであるので経年劣化で磁力が落ちており、新品交換では枯れたサウンドが出なくなる


ちなみにピックアップの巻き直しは通常のシングルコイルであれば14,000円です。これが高いか安いかはメーカー製のピックアップの価格を知っていれば・・・解ると思います。勿論これは、完全手作業でカスタムするピックアップです。音を良くしたいと思うのであればインピーダンスを合わせるだけで満足される方が多いのも事実です。その場合数千円で完了しますので、まずは何処が悪いか、どうしたら良くなるかを診断させていただければと存じます。*音をくっきりさせたい、高音(低音)がほしい、パワーが欲しい、パワーのあるピックアップのクリーンな音を出したいなどは大抵セットアップと先程言った中点のとり方とインピーダンス・チューンで良くなります。


現在、弊社では上記の理由もあり一限のお客様では取り付けの判断が難しい(演奏スタイルや楽器のポテンシャルもわからない)のでお受けすることが出来ないと言うのが答えとなります。

*上記の理由もありますがネジ穴のピッチが違っていたりアースなどの関係でピックアップ同士の極性を合わせるのが難しかったり、経が違うヴォリュームだったり、定数が違っていたりと問題も多く弦以外の持ち込みパーツは現在ご遠慮いただいております。

なお、いくつかのアップグレードパーツは音色の向上というより音色の変化を個人レベルで楽しむためのものであり、取り付けそのものがホビー的要素となります。プロの目線ですが、これはご自身で取付を愉しむべきアイテムとして認識せざるを得ません。

弊社ではパーツの交換もケーブルの交換も無しで音を改善することが出来ます。これは緻密に計算された技を惜しまずお客様のギターに注入するからであり、決してアマチュア的に音変わりを愉しむものではなくギターの持つ本来の音を引き出すことが出来ます。

ギタリストにとって良い音とは決まっている


実際にお客様と接していて、皆さん演奏スタイルがどうであれ「アタックがピッキングとともに瞬時に立ち上がり、リニアに減衰していく」という弦楽器として正常な鳴り方という意味では好みは変わりありません。でも世の中これが出来ていないギターが多すぎるからです。新品でもアタックが上手く立ち上がらず減衰も途中で途切れるというギターが結構多いのです。

また、先程言った「パーツを交換しないチューン」というのは泣き言ですが(笑)あまり儲かりません。ぱっとパーツを交換してパーツ代と工賃を頂いたほうが儲かりますが、これは僕にとって不本意で終わることが多いので正直言ってあまり興味もなく、やりがいも感じません。なのでトイ的要素をギターのチューンに求めている方には僕の考えはそもそも合わないと思っています。そのかわりに、どんなジャンルであれ本当に良い音を出したいと望んでいる方には、僕の30年間の経験と技術を惜しみなく投入するお約束をします。

アタックと減衰の度合いも本来の持つべきトーンを引き出すことが出来ると自負しています。





正常な耳を持つということ



良い音=正常な鳴りであるので、正常な音に慣れていないと自分で良い音が解らなくなってきてしまうこともあります。そういう場合はフレッティングが良い楽器を試奏してみることをお勧めします。フレッティングがしっかりしている市販ギターの代表格としてはDon GroshやJames Tylor、Sadowsky NYCなどです。これらは私の知る限り新品時のセットアップに狂いがなければ正しい鳴り方が再現されています。弊社ではフェンダージャパンであれ、同様のセットアップが可能です。このセットアップをお受け取りになったお客様は必ず良い経験となり、お渡し時試奏されているお姿を垣間見るととても気持ちよく演奏されています。

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